「怪我は大丈夫でした? 顔色はまだ悪いね」
「お前ももうちょっと必死で抵抗しろよ。あんなクソジジイぶっ飛ばせばいいだろうが」
アメとムチのような二人の言葉が全く耳に入らないぐらい私は混乱していた。
私には、似合わないような言葉の羅列が続々と聞こえて来たから。
「あの、何故この二人を呼んだのでしょうか」
「それは俺が説明しますよ」
社長に良く似た優しい笑顔で副社長が言う。
「はっきり言うとね、俺と新は理恵子さんに9年前、まだ俺達が学生だったときに『TEIARA』の設立するための援助をしてもらったんです。父に反対され、学生だけでは資金調達に苦戦していましたから」
「祖母が援助……?」
「お前の婆さんは、すげえ有名なジュエリーデザイナーだったろ。日本に招かれた外国重鎮に送る贈品に婆さんの宝石が使われたこともあった」
「祖母がデザイナーだったことは私も手伝ってたから知ってますけどそこまで有名だったりとは……おまけに資金援助していたなんて」
うちの家、一般家庭と変わらないぐらい質素だし平凡だし。



