すっかりヤサグレていたと思う。
大好きな祖母のお願いだからと地元から離れた大学に進学した時から、心の中で『私が決めたわけじゃない』と。
誰かのせいにしたら、気持ちが軽くなるような気がした。
自分が悪いのにね。
嫌なら断ることだってできたはずなのに。
最後に決めたのは、自分のいい加減な意思の元なのに。
負け犬根性が付いた私は、可愛くない。頑張っているシンデレラの元には、魔法使いが来るのだけれど私の元に来るはずもなく。
スーツはスーツのままだった。
綺麗なジュエリーも私にはやっぱり相応しくない。
ゆらゆらと動く中で、鼻を掠めたのはシトラスの爽やかな匂い。
ヤサグレた私の心を洗い流すような、素敵な匂い。
もっと嗅いでみたかったけれど、次は冷たい何かが頭の後部に触れる。
「大切なお預かりモノだから、これ以上起きなければやはり救急車を呼ぼう」
――救急車!?
その言葉に目を開けると、視点が定まらない視界に白髪が見えた。



