白のジャケットの姿に、切れ長の釣り目がちな瞳が、自信に溢れて笑っている。
数秒見惚れてしまったけれど、すぐに俯く。
「これ、今日のパンフレットです」
「いらねぇ。自分の会社のものなんか、全部持ってるし。てか、何でお前受付にいんの? 招待状届かなかった?」

「……私には本来届かなかったものなので」

「可愛くねえな、アンタ」

――可愛くない。

そう言われて、胸が痛んだ。
けれど、涙が零れなかったのは自覚があるからだ。

「でも、仕事は頑張ったんだな、会場綺麗じゃん。ステージの両脇に飾られた花、あれアンタだろ?」
「へ」

会場なんて、壁に椅子をかざり、ステージと真ん中にビッフェ形式の食事を並べるだけのテーブル、隣の会場に去年のジュエリーなどを飾ったのみのシンプルな感じなのに。

ちょっとだけ弄った花の事を見ていてくれてたんだ。

「あ、ありがとうございます」

「だから、そんな仕事放り出しててアンタが作った会場なんだから、俺と一緒に中に入るぞ。エスコートするからさ?」