一晩眠れば、きっと落ち着くと思っていた。
何回も寝がえりを打って、目を閉じて朝を迎えれば、ストンと心が落ち付いて気持ちが勝手に整理されているって。
結局私は逃げてばかりで、自分に嘘をついていた。
魔法の言葉を貰ったのに、あんなに優しい言葉を貰ったのに、私は逃げていいのだろうか。
落としたものを拾った癖に返しに来ない紡さんなんて、王子様でもなんでもない。
それでも――この気持を、可愛くないこの気持ちを伝えてしまいたい。
そう思った。
ベットでゴロゴロと逃げていた私は、お婆ちゃんのリップを手に持つと、
痛い足を引きずりながらクローゼットを開けた。



