「そうだったんですか」
「他の部署や、特に事務からのクレームがな。事務は色んな部署とパイプ持ってる大事な部署だから、しっかり説教したら遅くなった」
「映画じゃなかったんですか」
「説教した後に向こうが帰りたいと言うから、一緒には見てないぞ」
新さんが怒ってくれた気持ち、釜井さん達に届くと良いな。
はーっと溜息を吐いた新さんからは苦い煙草の香りがして、ふっと現実へ連れ戻された。
「俺は別に期間なんてないんだし、お互いゆっくり知って行こうかと思っていたんだが、――その顔は何かあったよな。急激に俺を意識する何かが」
タオルで隠してるのに、この人には透視の能力があるんだろうか。
「あったけど、今は放っておいて下さい。自己嫌悪でぺっしゃんこになりそうです。今日は――今日は空回りばっかりで、馬鹿みたいなんです」
落として行ったもの。
芽生えたモノ。
両方、どうしてこの二人だったのか。
自分でゆっくり気づく前に、無理矢理、こじ開けられてしまった感じ。
自分の気持ちなのに、いきなり流れ溢れ出てきて、自分でもまだ把握しきれていなくてきつい。
私は一体、どっちとどうなりたいとか、そんな展望さえない。



