まだ熱い腕は、紡さんの体温が伝わってきたから。
どうして……だろう。
捕まえられた腕を、離して欲しくないなんて。
何でこんなに、胸が苦しいんだろう。
紡さんの横顔は、すぐそばにあって、ドキドキが伝わらないか、ビクビクしてしまう。
甘酸っぱい気持ちが広がって、いく。
速く速く車が家に着きますように
「さっきの電話、大丈夫ですか?」
「あ、登録してない方からでした」
「ふぅん……」
何か言いたげに口の中で言葉を転がしながら、それ以上の会話もなく、車は進んでいく。
色々考えていたら、いつの間にか私のアパートに到着していた。
何も言わず車を止めたので、お礼をおずおずと言って、降りようとした。
――何だかあっさりし過ぎて寂しい気がしたけど。
すると、紡さんが窓をあげて私を静かに見つめてきた。
「緩奈さん」
「はい?」



