また泣き出した私に、ハンカチを押し付けてきた。
本当に、紡さんの優しさは分かりづらいです。
「ありがとうございます。すみません、急に押し掛けて」
「全くですよ。お陰で疲れがぶっ飛びました」
紡さんは依然私を離さないまま、座り込んで自分の靴の先を見て溜め息を吐きました。
――慌てて、追ってきてくれたんだ……。
は、話も済んだし、そろそろこの状況を何とかしたいのですが……。
「あ、の」
「却下です」
「!? まだ何も言ってません!」
微かに、紡さんの腕に力が入った気がします。
「貴方は、俺が散々新への思いを話されて、どれだけ苛々したと思ってるんです?」
心配じゃなくて、苛々って所が紡さんらしい。
「1人で悩まずに周りに頼れないんですか、このお馬鹿さんは」
「ひ、酷いっ」
「新の事は、俺も分かってましたよ。自慢の弟ですからね。君は今――新を好きになりかけてますね?」
「……はい」
やっと離されたと思ったら、腕を掴まれて立ち上がらされました。



