どうにか、状況を打破するべく会話の糸口を探さなくては……!
「ほ、報告が遅れたから伝えに来たんです」
「そんなもの、メールか電話で良い。明日だって構わないですよ」
「け、携帯、電池切れてしまって」
「――その通知で光ってる携帯の事ですか?」
み耳に囁かないでー!!
「名前呼ばないで下さい……うぅ」
紡さん、 一緒に居ると、何考えてるか分からないし、緊張するし、優しすぎて苦しいのに……。
今はとても、安心する。
「俺に会いに来ちゃったんですか?」
そう言われて、全身の血が一瞬で沸騰したのが分かった。
「違います! 違います! 大はずれです! きやぁぁあぁ!」
「ちょっと、うるさいです」
今!
今!?
く、首筋を今、噛まれた!
そ、それに微かに髭も当たるし、柑橘系の香水も鼻を擽るし、駄目だ。心臓が破裂しそう。
「うわぁぁぁんっ は、離して下さい! か噛まないで下さいぃい。う」
もう、とっくに限界だった。
「う?」
紡さんが聞き返してくれたのがあまりに優しい声だったから。
「うえぇえーん」
糸が切れたように緊張が溶け、泣き出してしまった。



