静寂に包まれた中、足音を殺し、気づかれないように歩いて静かにドアノブを回す。
ドクドクと心臓が高鳴るのを感じながら。
中から淡い光が漏れて……、小さく開いたドアの中、その光の中心を捉える。
――彼が、いた。
ネクタイをほどいいて椅子に投げると、髪を掻き上げて窓から下の通路を眺めている。
けれど、居た。
一目見たら、ドッと疲れが出てしまい、その場でまた座り込んでしまい動けなくなった。
色んな処理に追われて忙しかったけど疲れてないのかな。
その背中から伺うことはできなかった。
――よし、帰ろう。
会えただけで良かったし、少しだけ見れて元気が出たから。
そう思って、こっそりドアを閉めて帰ろうとしていた。
ヴーヴーヴーヴー
「きゃっ」
け、携帯が鳴って驚いてドアノブを離してしまった。
慌てて落とした携帯を、掴んで音を消そうとするのに、パニックになってできなくて。
「――緩奈さん?」
「っ」
気づかれて、……しまった。



