嫌な汗が頬を垂れる。
冷たく心臓が跳ね上がった。
隣に居た塚本さんも興味深々で、ロッカールームがある通路の方を覗く。
「うわ。新君だわ」
――やっぱり。
不安は的中してしまった。
「出来ました。提出してきます」
「――ああ」
不機嫌そうにそう新さんが言うのもお構いなしに、心成しか弾んだ足取りで此方に向かってくる人がいた。
――釜井さんだった。
「あら、お疲れ様です。お気をつけてお帰り下さい」
すっかり受付嬢としての完璧な笑顔を貼りつけて、私たちに挨拶すると、私の足を見て勝ち誇ったように口の端を上げたのが分かった。
そのまま私たちなんて気にも止めずに、走り去っていく。
私は、彼女を待つ新さんを見ることが出来なくて、松葉杖を鳴らしながら出口へと向かう。
「ちょっと、不破さん、待って。足に負担をかけたら駄目よ」
塚本さんに心配をかけさせても――気持ちが冷えて行くのが止まらなかった。
なんで?
なんで釜井さんと?



