嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?


「そんな、過大評価しすぎです」
「初日と比べて貴方、良い表情をするようになったわよ。そうね、あたふたしながら懸命に走り回る姿は誰が見ても高評価だと思うわ」
「買い被りすぐですって。私、本当にまだまだだし、チームの皆なんて私と同じ時間で倍以上仕事してますし」
「上を見ることも大事ね」

クスクスと笑っていると、エレベーターから降りた時、その声が聞こえてきた。


「本当に本当にすいません。すぐにすぐに書き終えますから」
「――社長の命令だし俺は別に約束は破らない」
「ごめんなさい。今日、大変でしたよね。私のせいで」
「そう思うなら、さっさと手を動かせ」
「はあい。すぐに」


ロッカールームから聞こえてきた声だった。
甘い可愛らしい声に、不機嫌そうな声。

でもその声は聞いたことがある。
いつも聞いている、声。

「私、あの映画ずっと見たかったんです。昨日からずっと楽しみです」

「だったらもっと手を動かせって。レイトショー間に合わないなら流石に置いて行くからな」

ぴしゃりと言い放つと、その声の持ち主も喋るのを止めて何かを書く音が響いてくる。

松葉杖のせいで歩くのが遅い私には、二人の声はしっかりと聞こえてしまっていた。