心の中ではちょっとだけがっかりしていた。
てっきり一緒に帰れると思っていたから。
一度熱くなった感情は、止まらなくて。
悲しいとさえ思ってしまう自分の変わり様に自分でさえ戸惑ってしまう。
松葉杖を付きながら螺旋階段を見上げるけれど、まだ出てくる気配さえない。
「不破さん、大丈夫だった?」
「塚本さん」
「心配で見に来ちゃった。帰るなら駅まで送ってあげるわよ。でもタクシーの方がいいかしら」
「大丈夫ですよ。歩いて帰ります。軽い打撲らしいので」
螺旋階段を見上げつつ、後ろ髪を引かれながらエレベーターの方へ向かった。
「さっき私が電話対応したけど、出版社の大元から電話だったわよ。そりゃあ、『TEIARA』と言えば、20代女子の人気ナンバーワンブランドだしねぇ。バックには日本最大のジュエリー会社『グラツィオーソ』があるしね」
「……でもそれだけ仕事に手段を選ばないで頑張るのも凄いですよね。理解はしたくないですけど、大手の会社の反感をかってでも貫きたい彼女なりの信念があってんでしょうね。」
「まあ、仕事に情熱を向けるなら迷惑かけないで欲しいわよね。林田さんを通した受付の子、とうとう日頃の怠惰の罰が当たったのね。今、始末書書いてたわよ」
「もう少し情熱を持って欲しい人もいますよね」
苦笑していたら、エレベーターが開いて二人で乗り込んだ。
「そうね。自信がなくても情熱さえあれば貴方みたいに向上していけるのに」



