「どう言う事ですか」
「お前、なんで鍵持ってるんだよ」
いつの間に現れたのか、副社長に肩を支えられ、新さんが階段を上がりながら林田さんに詰めよった。
「あの、これ」
新さんに手を伸ばしてスマホを差し出すと、新さんの目が見開く。
「引っかき傷できてるぞ」
そう言うと、手の甲の傷にゆっくりと唇を這わせた。
「新さんっ」
「消毒ちゃんとしろよ」
また革靴を響かせながら背を向けて歩き出す。
なのに、唇が触れた手が熱くて――ドキドキするよ。
「スマホのロック解除番号は?」
「……うちの雑誌の発売日」
拗ねたように答えると、そっぽを向いた。
そのまま新さんはスマホ画面をスライドさせる。
「今回の記事も特集も契約違反で白紙だ。いいな」
「ちょっと待ってよ。私は、この映画が好きでこのデータ個人で楽しみたかったのよ」
「そうか。だったらこの画像は消さなくていい。どっちにしろ、これは俺の没にしたただのデザイン画で、今回の映画に関係ないから好きにしろ」
「関係ないの……?」



