歓迎会で利用したホテルのケータリングだったけれど、スープもまだ温かいしメニューも豊富でチームの皆も山盛りでお皿に持っている。
「ねえ、何で指輪してないの?」
「林田さん」
私も皆と並んでお皿を持って選んでいたら後ろから林田さんが話しかけてきた。
「貴方が紡君との指輪してるって噂で聞いてたんだけど」
「そんなはずないですよ」
笑って誤魔化すけど、林田さんの長い足が私の前に伸ばされた。
「紡くんがお世話になった理恵子さんの孫ってスペックが貴方の強みなのかしら」
「なんでそれを」
チームの人だって知らないのに。
言葉を失った私に林田さんは、勝ち誇った笑顔を向けた。
「紡くんが私に隠し事なんてしないわよ。仕事が忙しくなると部屋を散らかすわよね、彼。知ってた?」
ふんわりと甘い香りを放ちながら、彼女は綺麗なヒールの音を立てて遠ざかっていく。
明らかな敵対心だけれど、釜井さんたちみたいに余裕がないわけじゃない。
私みたいなガキ、相手にしていないと余裕に満ち溢れていた。



