「何だ? 招待状って歓迎会のやつか?」
「はい。彼女は契約なので用意されていないようで」
「じゃあ、俺が手配しときましょう。お名前と所属は事務かな?」
塚本さんの向こうで顔を出す長身の二人にブンブンと首を横に振る。
「本当に結構ですので、止めて下さい」
「あはは。止めてとまで言われたら、しょうがないわね。一旦引きなさいよ」
塚本さんに爆笑された二人が、それぞれ諦めきれないような顔をしている。
髪を片手でくしゃくしゃにしながら、私を睨みつける弟。
顎に手を当てて、少しだけ首を傾げる兄。
悔しいぐらい絵になる二人だけど。
二人共から、諦めて帰る気配が無かった。
「一旦、私が引き受けるからあまり追い詰めないであげて?」
塚本さんのその様子に、渋々引き上げて行く二人に胸を撫で下ろしたのも束の間。
振り返った塚本さんの目が、好奇心の塊の様に輝いているのが見えた。



