嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?




「か、歓迎会準備の時は走りまわるからヒールは似合わなくて。だから、私、今はヒール低くしたのに五月蝿かったですか」
「はぐらかさないで」
ピアノの鍵盤の前から動けないでいると、黒く輝くピアノに、私を真っ直ぐ見る紡さんが見えた。


「キスしていいですか?」
息を飲む喉の音が広い部屋で響いてしまう。
指先で繊細な音を奏でられるのに、私は振り返ってその手を強く握り締めて振りかざそうとした。

偽の婚約をしたり、新さんに嘘ついたり、散々振り回しておいて――尚もまたそんな冗談を。
感情的になった手が振り落とされる前に開いたままだったドアから新さんが顔を出した。
「話が遅くなった。不破は飯、食べたか?」

「……っ」

「うわ、空気が重い。兄貴、不破に何したんだよ」

嘆息しながら新さんが私を庇うように間に入ってきた。

「魔法の言葉を唱えたんですよ」

紡さんだけが静かに笑っているだけだった。