「緩奈さんは人をよく見てますよね。箸の使い方も綺麗ですし」
人を良く見てるか分からないけれど、それと箸の持ち方が関係あるのか疑問だ。
ころころと話題を変えて――話を逸らしているようにも見える。
そんなに弟が大切で後ろめたいことがあるならば、
もし、同じ人を好きになっても、譲ってしまうんじゃないかな。
フェアじゃないのは紡さんの方だと思うけれど、その対象が自分なのだからあまり話題にしたくない。
自分の利益と弟の気持ち、どちらを選ぶかによって、紡さんの印象が変わってしまうし。
お弁当を全て食べて、ちょっとだけ沈黙が広がる。
「俺の気持ちは正直に話したけど、これで満足かな?」
「……一応は。泊まり込む勢いだったから拍子向けしました。でも」
「でも?」
「紡さんって知ろうとすればするほどよく分からないです」
分からなくなる。
隠しているのか、本心なのか、計算なのか、――私のことは?
「……へえ」
私の言葉を舌で転がすように小さく呟くと、目元を滲ませて笑う。
「新が出てくるまで、俺の事じっくり教えてあげようか?」
ふんわりと甘く笑ったように見えたのに、その笑顔は黒い。



