「おい、勝手に話を進めるなって言ってるだろ」
私と紡さんの攻防は、新さんの怒鳴り声によって中断された。
私と紡さんの視線に、携帯を切ると両手を上げて、お手上げだと肩を下げる。
「親父が酔って電話してきたんだ。さっきの弁当、やっぱ一個貰ってもいいか?」
「どうぞ。新さんのですし」
紙袋から出したお弁当を電子レンジに入れると、上着をハンガーにかけて終い、、ちゃんとネクタイも外してかけている。
そのまま、温め終わったお弁当を持って私の方を振り返る。
「ちょっとだけ親父と電話してくるから、兄貴に何かされたら大声で俺を呼べよ」
「あははは。大根があるので大丈夫です」
「新がいるのに最後までするわけないでしょう?」
「……ドアは空けて移動しろよ、不破」
じろりと紡さんを睨みつけたまま、新さんは二階の自室へ籠ってしまった。
「二人っきりだね、ハニー」
このおちゃらけた紳士の皮を被った腹黒と二人だけの空間だなんて。



