「兄貴はこんな、人の気持ちまで弄ぶような馬鹿じゃねえから、そんなに怒らないでやってくれ」
「新さんは優しすぎます! 私と紡さんに騙されたんだからもっと怒るべきです。怒って下さい!」
「お前、どMだな」
苦笑した新さんは車を止めた。よく見ればもう私の住むマンション前だった。
バス乗り場二つ分だから10分もかからないんだ。
でも一度送ってくれただけなのにもう覚えてくれたんだ。
「正直、確かに不破を理恵子さんの孫という色眼鏡で見てたし、理恵子さんの約束通りお前の面倒を見るのは悪くないと思ってる。よく頑張ってるよ、お前」
「新さん……」
「だから、兄貴と婚約したって聞いて色々複雑だったのに次は嘘とはな。本当にやられた」
小さく消え入りそうな声で謝ると、気にすんなと頭をグシャグシャされた。
新さんに助けてばかりで私は良いのだろうか。
「ちょっと待ってて貰って良いですか!?」
「あ、ああ。一服してるから気にするな」



