「あんま気にすんな。まだ裏があるかもしれねーし」
「…………」
「通りで婚約したとか言いながら、会社でも家でも連絡してる素振りがねーはずだ。俺はお前らに心配されるほどスランプに追い込まれていたか?」
「すいません。少しでも企画が遅れたら大変だって言うからつい」
「お前の意思はどこにある。もっとしっかりしねーと傷つくだけだぞ」
口は悪いし怒鳴られてるけれど、それが優しさからくるものだと新さんは分かる。
なのに紡さんは全く分からない。
分からないのは私が見ようとしていないわけじゃなく、紡さんが見せようとしてくれないからだ。
『新を好きになったんじゃないですか?』
新さんの前で平然とそう尋ねる神経が分からない。
そんなわけ……そんなわけ無いのに。
新さんは尊敬するデザイナーでもあり上司だ。
新さんが無言でアクセルを踏むと、ネオンはキラキラと輝き、溜まった涙で宝石のように滲んだ。



