駄目、お邪魔するの押し問答でタクシー乗り場まで来ると、ロータリーにはタクシーを待つ人がポツリポツリと並んでいた。
バスで帰りたいので早く紡さんをタクシーに押し込もうとしていたけど、ふと足を止める。
「どうしましたか?」
「紡さんが新さんを繊細だと言ってましたけど、私はそこまでプレッシャーに負けるような人とは思いません。少なくても、今はもう企画に全力で取り組んでくれてますし」
「一度乗ると新は揺るぎませんね」
「だから正直に私たちが偽装婚約だと打ち明けても良いと思います」
確かに新さんは雰囲気は怖い。
しかめっ面で眉を潜めて、目付きも悪い。
言葉も乱暴だし、仕事ができる分、私たちにも容赦はない。
――でも。
「見た目が怖いだけで今日も残業に付き合ってくれたし、ぶっきらぼうなふりして凄く優しいし。それに新さんは嘘をつきません」
自分で言っていても、纏まりもないし分かりにくいけど、でも新さんの言う通り紡さんに言われたこの現状は確かにおかしい。



