電車に乗り込み、外の景色を見ながらも考えることは、この指に輝く契約のことだ。
この仕事はやはり楽しいのだけれど、どちらかと結婚しなければ契約は更新しないかもしれない。
そうしたら私は、どうする?
まず二人みたいなモテるイケメンが本当に私を選ぶはずなんてないと思ってる。
もしかしたら、会社を継ぎたくて仕方なくプロポーズされるかもしれない。
この紡さんとの婚約が嘘だと社長にバレた後、婚約者としてではなく社員として残して貰えるのかな。
あんなに釜井さんと笹山さんに腹が立ったのは、本当の事だったからだね。情けない。
ただただボーッと指輪を眺めていたら降りる駅に到着した。
まばらな人混みに紛れてホームへ降りると、反対斜線の電車に乗り込む人たちの中に、林田麻里亜さんを見かけたような気がした。
こちらを背に、座席に座ってしまったので確認できず反射的に近づいてしまう。
「ああ。此処は君が利用している駅でしたっけ」



