釜井さんと笹山さんに左右を取られ、満更じゃなさそうに新さんは歩き出す。
確かに二人は、可愛い。受付嬢として選ばれた、本当の婚約者候補かもしれない。
瞬時に涙も溢せるし、ワガママかもしれないが所詮愛嬌さえ有れば上手くやれるんだろうな。
すっかりやさぐれたまま、冷えてしまったお弁当を抱く。押し付けられたので有り難く頂く。
今日はもう部屋の掃除は大丈夫なようだ。
「新さんも忙しかったのにありがとうございました」
駅のホームで深々と頭を下げてお礼を伝えると、苦笑していた。
けれど二人がいるのできっと言葉を飲み込んでくれたのだと思う。
「あんま一人で抱え込むなよ」
「新さーん。今日のお礼にお洒落なバー行きませんか? 私奢りますー」
「美味しいパスタのお店もあるんですー」
「……じゃあ失礼します。お休みなさい」
「ああ。また明日」
二人のガンガントークに後ろ頭を掻きながら困り果てていた新さんは、ちょっとだけ面白いと思ってしまったけれど、あの二人の誘いに乗るのか乗らないのか。
少しだけ気になってしまった。



