「ぷ。殴り合いはすんなよ」
「そんなのしません!」
むきになって言い返していたら二人が帰ってきた。
こんな時は仕事が早いんだから憎らしい。
「あの、副社長宛の速達だけは連絡が取れなくて」
「兄貴、もう居なかった?」
「はい。緊急連絡先の携帯も出ません」
釜井さんが持っていた封書に目をやると、見たくもない名前が書かれていた。
出版社名と雑誌名とそして名前はあのセクハラ編集長。
新さんも気づいたのか、眉間にしわを寄せながらそれを受け取った。
「取り合えず、持って帰って俺から渡す」
「じゃあフロアごとに書類を分けてから配りましょう
」
私は見なかったふりをして、各階の書類の束を抱えた。
一人なら数時間残業させられていたかもしれないと思うと、新さんが待っていてくれて本当に助かった。
定時より一時間少し経って漸く会社の自動ドアをくぐった。
「駅まで送るか」



