「!?」
「あはは。驚かせてすいません。綺麗な足に目をやったら怪我をしているみたいだったから」
いつの間にかエレベーターが到着していたみたいで、降りてすぐに私を見つけた人が私の足を指差した。
ブラウンかかったサラサラの髪を後ろへ流して纏め、甘く滲む目尻が下がっている、琥珀かかった綺麗な瞳の男の人だ。
「ちょっと走ったら靴ずれしちゃいまして。大丈夫です。ありがとうございます」
流石、日本一のシェアを誇る一流企業。
後ろに外国人二人を従えた、紳士的なイケメンがいる。
思わず見とれてしまいそうな、王子様ルックスだ。
「それは大変ですね。医療室へ行けば代わりの靴を貸してくれるはずですよ。場所は分かりますか?」
「いえ。すいません、何階でしょうか」
私がそう尋ねると、その人は優しく甘く笑う。
「お手を。エレベーターまで誘導します」
「あ、ありがとうございます」
「あ、紡! てめえ、そいつから離れろ」
「紡とは、言葉が汚いですよ。お兄様か、副社長と呼びなさい」
え……?
副社長?
「うるせー。こら、ドア締めんな」
男の人はエレベーターのボタンを締めると、医療室がある階を押してくれた。
優しく笑う、この男の人が副社長?
あ、でも、さっきの怖い人のお兄さんってことは社長の息子さんだからこんなに若くても副社長になれるの?



