結局、新さんは私よりも映画に釘付けで。
私がこっせり手を伸ばしてポップコーンを食べていた事には気づかなかった。
エンディングロールのテロップで漸く手を動かした時には、思わず二度見するほど、ポップコーンは底にしかなかったらしい。
「面白かったですね。暖かみがあって、感情移入できるような飾らない人たちで」
「あのアンティークの珈琲カップや、テーブル。スプーン1つ、髪を結ぶシュシュに至るまで全部凝ってたな」
「…………」
どうしよう。全く感想が噛み合わない。
あくまでも彼方さんは映画の感想ではなく、仕事としてこの映画を見ていたんだ。
「話に合う。高級な雑貨なくせに目立つことなく控え目に周りを引き立たせていて、勉強になったな」
「確かに小物も食べ物もお花も綺麗でしたよね」
私は当たり障りなくしか言えない。



