結局ポップコーンは渡してくれないまま、シアタールームに入ると、ほぼ貸切状態。
私たち二人以外に、一番前に女性客が二人しかいない。
一番後ろの真ん中に座ると、私が空いてるんだしと一個開けて座ろうとしたら睨まれた。
「兄貴も何を考えてるんだか」
「へ」
「昨日帰ったら上機嫌で、お前が婚約を了承したと実質、今婚約中だと豪語してたくせに――自分の大切な相手を弟と二人きりにさせるか?」
悔しげに言うので首を傾げてしまう。
「新さんは、何に悩んでいてスランプなんですか」
「……お前ストレートに聞くな」
呆れたように溜め息を吐かれて、長い指先が乱暴にポップコーンを掴んだ。
「今から見る恋愛映画を越える映画にさせてみせる――そんな意気込みで作ってる映画のジュエリーだ。スランプになるぐらい悩むのは当たり前だろ」
「それはそうかもしれませんが、新さんは自分に厳しすぎますよ」



