「取り合えず先にAWのデザイン考えるか、お前の部署の後輩が新人賞に出す作品見てやるか、それか」
紡さんは徐に胸ポケットからチケットを二枚取り出すと、新さんの頭に乗せた。
「気分転換に今、女の子に大人気の恋愛映画でも見て来いよ」
「恋愛映画だと?」
「日本の恋愛映画歴代二位の売上らしいですよ。記録更新中とか。インテリアや身に付けているアクセサリーに至るまで可愛くてオシャレらしいです」
頭に乗せられた映画チケットを手に取ると、新さんは頬杖をついて眺めている。
昨日のベーグルと珈琲を差し出しながらチケットのタイトルが気になって後ろから覗き込むと、振り返った新さんと目があった。ばっちりと目があってしまった。
「おい、助手」
「つ、紡さんはお水にしますね」
「無視してんじゃねーぞ」
「冷めないうちにどうぞー」
「――おい」
新さんの声が低くなる。
「珈琲を飲んだら出掛ける。準備して来い」
「私がいくんですか?」



