「凄いですね。何でもできるのに自慢もしないし」
「自慢はしないけど、自信に満ち溢れているでしょう?」
ふふふと得意げに笑う。
そして大通りで、真っ赤な花束を上げてタクシーを止めながら私を見る。
「俺は自分の為に努力は惜しまない。貴方も、です。自信がないなら、自信がつくようなことを一杯探して身に付けて自分の武器にすればいいだけです」
紡さんはそれすらも簡単に言うけれど私には多分、紡さんみたいに要領もよくないから荊の道になってしまう。
「出来るのにやらない君は、酷く嘘付きですよ」
薔薇の花束を差しだされ、黙って受け取ると紡さんはポケットから煙草を取り出す。
その意味が分からなかったけれど、乗り込んだ私を見て、彼は白い煙を吐きだしながら空を見上げた。
「君にその真っ赤な薔薇が何色の色でできてるのか、その世界観を俺に教えほしいですね」
「、ああの、」
「本当に俺の婚約者になった時にでもね。――お休みなさい」



