「あら、お疲れ様です」
途中塚本さんに見つかり、私と紡さんを値踏みするように見た後含みを込めて笑われたり、釜井さんたちにタクシーに乗り込む姿を見られて真っ青になったけれど、紡さんは笑顔で手を振ったりと余裕の表情を浮かべていた。
着いた先は、煉瓦作りの可愛い家のようなお店。店の前には手入れされた花壇でハーブを作っているし、入口にはジャムや紅茶、焼き立てパンの買えるコーナーがある。
一階はほぼガラス張りで、小さな庭には噴水もある。
お店の中は、外のライトアップされた庭が見えるように窓際のテーブルが多く、半個室になっていて、テーブルとテーブルの間に観葉植物が壁の様に置かれている。
中央のピアノでは、ドレスを着たプロの方がピアノを弾いていた。
「ここは生ハムが美味しいんでおススメです」
ジャケットを脱ぎ椅子にかけると、ふんわりと笑う。
メニューもけっこうなお値段で、冷や汗が出てくる。
一週間の食費が一晩で無くなる計算だ。
「こ、こんな所へ連れてきて何もないなんて考えられない! 何を私にお願いするつもりなんですか!」



