ついでに珈琲も淹れていたら、紡さんが新さんの傍までやってきてにっこりと笑う。
「緩奈さんと今夜食事に行く約束を取り付けていたら遅くなった。なかなか身持ちが硬いんだから」
「――は?」
一瞬困惑した新さんはすぐに不機嫌な顔に戻る。
「身持ちが硬いんじゃなくて兄貴なら食事後すぐに食ってしまうから警戒されてんだろ」
「はは。そういう新はどうなんです?」
一応私が居る前でそんな生々しい話しをしないで欲しい。
「俺は、兄さんとは違って誠実だろ」
「……」
見た目から言えば――誠実そうなのは紡さんだけど。
嘘をつけないような性格の新さんが言うんだから間違いないだろうね。
「それ以上おかしな発言は止めて、やや茶色いお弁当でもさっさと食べて下さいよ」
「緩奈さんと婚約して俺が社長になるから、俺はもう摘まみ食いしませんよ?」
「!?」
突然の紡さんの発言に、タッパを落としそうになったのを新さんが見事にキャッチしてくれた。



