気付けば、靴箱にいて外は真っ暗だった。
――長谷川には、年上の恋人がいるらしい。
そんなうわさがあった。
その真意を直接聞いたら、恋人はいないと聞いていた。
でもすべてが嘘ではなかったんだ。
好きな人が、年上なんだ。
告白なんてするつもりはなかった。
でも、期待していなかったわけじゃない。
だからもっと、今よりもっと仲良くなりたかった。
その結果、長谷川くんは私に話をした。
どうせなら、心構えをしたかった。
恋人はいないと言われたとき、安心してしまった。
恋人がいない=好きな人がいない、ではなかったのに。

