「諦めないのか?」
諦める、
と言ってくれ。
「……諦め、れないかな。
そう簡単に、好きじゃなくなれないよ」
見上げた彼女は、悲しげに笑う。
いや、その笑顔は苦しそうにも愛おしそうにも見えた。
そんな顔は、長谷川がさせるんだ。
……俺ではなく。
高校生活では2年間同じクラスだった。
同じクラスで授業を受け、あらゆる行事の班も偶然一緒だった。
昔一度会っただけの長谷川より、同じクラスになったばかりの長谷川より、ずっと一緒だった。
恋は、早いもんがちでも、一緒に過ごした時間でもなく、たった一度のきっかけなんだ。
俺があの日の涙だったように、西岡さんにとってはあの日あの瞬間。
そんなのわかってる。
だからって、諦めれるのか。
彼女は、諦めれないと言っている。
それは、今の俺だって同じ気持ちだろ。

