涙でからした声で、ポツリポツリ話す彼女は両膝を両腕で包んで語る。
小さい体をさらに小さくして。
「……それでも、好き、なんだよね……」
彼女の言葉は決して、大きいものではなく、呟きでしかなかった。
けれど、川の流れや車の音、あらゆるすべての音よりも、なによりも大きく俺の元に届く。
すべての思いのこもったその声は、どんなものよりも鋭く、俺の心に刺さった。
「ごめんね、なんか、いっぱい話しちゃって。
倉部くんには、全然関係なかったのに」
慌てたようにそう言った西岡さんは、申し訳なさそうに一瞬合ったその目をそらす。

