学校の近くの河川敷で、俺たちは話した。 初夏と呼べるこの時期でも、太陽が沈めば冷える。 話しながら震える西岡さんに、手持ちのジャージを渡す。 ありがとうと、小さく笑う。 こんな時じゃなかったら、その笑顔に素直に喜べただろう。 彼女の母親が亡くなった日のこと。 そのときに会った男の子のこと。 高校で再会したこと。 それが長谷川だということ。 長谷川は自分のことは覚えていないようだということ。 長谷川には好きな人がいるようだということ。 そして……それでも長谷川が好きなこと。