一方通行恋愛~この恋、全員片想い~


「……どうして、泣いてんの……」


 責めるような言い方になった。

 誰が、彼女を泣かしたんだ。

 瞬き一つ、またその目から涙がこぼれる。


「……っ、だい、じょうぶ!
ごめ……っ」


 次々とその目から、雫があふれる。

 とどまることを知らないその涙。


 ああ、俺はどうしようもない。


 傷つき、涙を流しているのに。

 それがとても美しく愛おしいと、思ってしまう。

 ……触れたい、今すぐに。


 俺は、本当にどうしようもない。


 左手に彼女の右頬を包む。

 流れる涙を親指で拭う。


「こういうとき、どうしたらいいのかな
……ごめん」


 情けないくらい震えた自分の声。

 きっとこれが、ほかの誰かだったら、もっとうまくできた。

 慰めることもできた。