スタバに入ってお兄さんはメニュー表をあたしに渡してきた。
「オリジナルブレンドのホットのトール」
店員さんにそう言っているお兄さんを見て、大人だと思った。
ブラックなんて苦くて飲めないよ。
そう思っていると、お兄さんはあたしの方を向いた。
「決まった?」
フワッと笑う笑顔を見て少しドキッとした。
「あ、えっと…じゃあホワイトモカのホットで」
そう言うとお兄さんは了解と言って一緒に頼んでくれた。
お財布を出そうとするとお兄さんはさりげなくあたしの手を触った。
「いいよ、今日は俺のおごり」
そう言ってまた笑う。
この人、本当に笑顔が似合う。
「ありがとう…ございます」
お礼を言って席に着く。
目の前に座ったお兄さんは優雅に足を組んでコーヒーを飲む。
「あ、あの、大学生ですか?」
あたしがそう聞くとお兄さんは
「うん、そうだよ。東郷大学の医学部なんだ。あと俺、松永賢一(マツナガケンイチ)。大学2年。よろしくね」
そう言って笑う。
東郷大学とはこの辺じゃ偏差値が高くて有名な大学。
医学部なんて相当頭良くなきゃ入れない。
でも医学部だからあのおじいさんのとき冷静に対処できたんだ。
そう思ったら納得。

