「ん~つかれた~」



お兄さんが隣で伸びをする。

たしかに病院は疲れる。

時計を見るともう夜の7時を回っていた。



「あ、じゃああたし帰りますね」



お兄さんにペコリとお辞儀をして帰ろうとする。

すると、



「君、家どこ?」



いきなりそう言われたからあたしは自分の住んでるところを言った。



「木の下町じゃ俺んち近くだから一緒にタクシー乗ってこうか」



そう言われて断る理由もなかったからコクリと頷いた。

タクシーの中ではよくAEDを知ってたねと感心された。

授業でやったというと、今の高校生はすごいねと言われた。

お兄さんはよく見るとかなりイケメンだ。

さっき隣にいて分かったけど、背も高い。

多分180センチくらいありそう。大学生かな?

きりっとした目にスッと通った鼻筋。

薄い唇。爽やかなお兄さんだ。

でも笑うときはフワッと優しく笑う。

なんだかその笑顔、見たことある気もしたけど…。



「じゃあ今日はお疲れ様ね」



家の前で下してもらう。

タクシー代はお兄さんが出してくれるって言うから、素直にお礼を言った。



「ありがとうございました!」



「うん、じゃあね~」



そう言って走り出したタクシー。

でもおじいさんが無事で本当に良かった。

そう思って家に入るのだった。