「うん、いつもお世話になってるから」



そう言って微笑む真子先輩。



「開けていい?」



そう聞くと先輩は頷いた。



袋から取り出すと…



「うわっ!綺麗!」



小さな小瓶の中に、星の形の砂や、きれいなピンクの貝殻が入っていた。



「ホントはね、その星砂自分で取ってきたかったんだけど、探してもなかったの」



隣で少し寂しそうにそう言う真子先輩。

俺はそっと先輩の手を握った。

真子先輩はびっくりしたように俺を見た。



「…いつか、一緒に探そうよ」



俺がそう言うと先輩はさらに目を見開いた。



「何年、何十年先かわかんないけどさ、一緒に探しに行こう」



そう言って真子先輩を見ると、先輩はフワッと笑った。



「…うん、そうだね」



先輩は社交辞令でそう言っただけかもしれない。

俺なんか全然好きにならなくて、このまま先輩が卒業して終わりなのかもしれない。

でも、俺はそんな先輩の言葉が本当にうれしかった。

家に帰って俺は先輩からもらった星砂の小瓶を、お祭りの時に取った白いうさぎの隣に飾った。

また一つ、俺の宝物が増えたと思って笑った。