「真子…先輩ね!僕のことは隼人でいいよ!」



そう言って人懐っこい笑顔で笑う。

それを見て、あたしはお昼に秋が言っていたことを思い出した。

1年の可愛い男の子…絶対この子だ。

だって本当に可愛い。

見とれちゃうほど可愛い…。



「先輩?どうしたの?」



隼人くんがあたしの目を見ながら首を傾げる。

その姿がさらに可愛い。



「あ、いや、なんでもない!それより…あの…」



それよりなんであたしここにいるんだろう。

そう思ってるのに気付いたのか、隼人くんが口を開いた。



「もしかしておぼえてない?先輩、道のど真ん中で倒れたんだよ?」



それを聞いてハッとした。

そっか…家に帰る途中に目眩がして…。



「もう、びっくりしたよ~忘れ物取りに家帰ってる途中、目の前歩いてた先輩がいきなり倒れるんだもん!」



そう言って腰に手を当ててケラケラ笑う隼人くん。

なんだか急に恥ずかしくなった。



「ご、ごめん」



「あはは!でもホント焦ってさ、どうしようかと思ったんだけど先輩全然起きないし、すごい熱っぽかったからそのまま家に連れてきちゃった」


テヘッ☆って効果音が聞こえてきそうなウインクをして、頭を掻きながらそう言う。

そんな仕草が似あう男の子は隼人くんしかいないと思う。



「そ、そうだったんだ。ありがとね」



だいぶ迷惑かけちゃったみたい。



「それより先輩、ちゃんとご飯食べてます?先輩運んだ時めちゃくちゃ軽かったから僕びっくりしたよ」



隼人くんがそう言ったのを聞いて、あたしの顔が赤くなった。

恥ずかしい!!めちゃくちゃ恥ずかしい!!

てか運んだって…



「お姫様抱っこしちゃった!初体験だったよ!」



少し照れたように笑う隼人くんに、あたしの顔はさらに赤くなった。



「あ、そうだ!先輩おかゆ作ったんだけど食べれる?」



そう言ってテーブルに置いてあるお鍋の蓋を開ける。

ふわっと湯気が出て、とてもいい匂いがした。