「「「「わぁ!!!!」」」」
周りからそんな声がする。
あたしの前を走っていた3組の人が豪快に転んだのだ。
「真子~!!今のうち!!!」
どこからかそんな秋の声が聞こえた気がした。
あたしは最後の力を振り絞って走った。
そして、3組の人を抜かした。
「真子っ!!こっち!!」
目の前に啓太が手を上げて待っている。
あたしは啓太の手めがけてバトンを渡した。
「よくやった!!」
そう言って走り出す啓太。
あたしは呼吸を整えるのに必死だった。
啓太より少し遅めのスタートを切った3組。
その時、
「「「キャー」」」
どこからともなく女子の悲鳴のような歓声のような声が聞こえる。
呼吸が整わなくて苦しかったけど、あたしはみんなの見てる方を見た。
するとそこには啓太と、少し後ろを…
「は、隼人…くん?」
そう、隼人くんが3組のアンカーを走っていた。
走るのに必死だったから啓太の隣にいたのに気付かなかった。
啓太はサッカー部だから足が速いのは当たり前。
でも…
「キャー松永くんはやーい!!」
「隼人ー!!頑張れ~!!」
啓太との距離を少ずつ縮めていく隼人くん。
本当に早い。
アンカーは1周。ちょうどあたしのいるところがゴール地点。
あと20メートルのところで2人が並んだ。
そして…

