この声は…
「真子」
後ろを振り向くと真子がいた。
さっき母さんと大樹が言っていたように、めちゃくちゃ可愛い。
髪の毛をお団子にしていて、白くて細いうなじが目に入る。
少し化粧もしてるのか、いつもより大人っぽく見える。
でもその隣には案の定…
「松永…」
そう、あの松永隼人がいた。
可愛い顔して、俺にペコリと会釈をした。
俺は松永を睨んだ…けれど…。
「わあぁぁ~ん!」
この大樹の鳴き声で、台無しになった。
「ちょ、大ちゃんどうしたの?」
真子が心配そうに大樹を見る。
「りんご飴。食べてたら落とした」
俺がそう言うと、真子はほっとしたような顔をした。
「なんだ、転んだとかじゃないんだ。おいで、大ちゃん」
そう言って手を差し出す。
大樹は真子に抱っこされる。
「大ちゃん、いーい?男の子はそんなことで泣かないの。男の子は強くなきゃいけないんだよ?」
そう言って大樹をあやす。
大樹も少し泣き止んで真子を見る。
「よーし、偉いぞ大ちゃん。もう泣かないよね?」
そう言って真子が大樹の頭を撫でると大樹は自分の袖でキュッと涙を拭いた。
「うん、僕もう泣かない」
そう言って笑った。
真子も笑った。

