「今日はいろいろありがとね」
玄関で隼人くんを見送る。
荷物持ってもらったあげく、涙を見せるという失態までおかしてしまった。
今考えるとかなり恥ずかしい。
「ううん、なんか真子先輩のことがちょっと分かって嬉しい!」
そう言って微笑む隼人くん。
「でも寂しくなったりしたら僕のこと呼んでね!真子先輩の為ならどこに居たって飛んでくから!!」
言いながらあたしの頭を撫でる。
本当に隼人くんは優しい。
「ありがとね、ホントに」
「絶対絶対ぜぇっっったいだからね!!」
あたしの目をまっすぐ見て言う。
「うん、わかった」
あたしは頷いた。
そして帰り際に隼人くんが思い出したように言った。
「あ、先輩。8月4日のお祭り、忘れないでね!」
そう言われてあたしも思い出した。
そうだ!お祭り、あたしが誘ったんだった!!
今さらだけど頬を赤くした。
「うん、忘れないよ!」
そう言うと隼人くんはにっこり笑った。
「じゃあまた連絡するから!またね!!」
「またね」
雨もすっかり止んで、ちょっとムシムシする道を、隼人くんは走って帰った。
お父さんの少しだぼだぼしたジャージでも格好良く見えた。

