「よし!真子、帰るぞ~」



俺は真子の机に行ってそう言った。

真子は嫌そうに俺を見て言った。



「…ヤダ。なんか啓太企んでそう…」



そう言ってフイッと首を横に動かした。

こ、こやつめ~!!



「ほら、早く帰るぞ!」



そう言った時、廊下からキャーという黄色い声が上がった。

俺は声のする方を向いた。

真子も不思議そうにそっちを見た。

その時、ヒョコっと教室のドアから顔を出した奴がいた。

やけに可愛い…男だ。見たことないから1年だろうか?

そう思っていたら、



「あ!真子先輩!!」



そう言って手を振っている。

真子先輩?…真子せんぱ…真子!!!?

俺はバッと隣にいる真子を見た。

真子は目をまん丸くして驚いている。

コイツ、いつの間にあいつと知り合いになったんだ!?

そう思っているとそいつはパタパタと真子に近づいてきた。

周りの奴らが2人に注目してる。



「先輩、カーディガンありがと」



そう言ってフワッと微笑んだ。

その笑顔を見ていた女子が顔を真っ赤にしてる。

真子もだ。顔を赤くしてそいつを見てる。



「ど、どういたしまして」



そう言って俯いた。



「先輩、今日一緒に帰ろ!」



いきなり真子にそう言った。

真子もびっくりして顔を上げてる。

そいつは返事を待たずに、机の上にあった真子のカバンを持つと、真子の腕を引っ張って教室から出て行った。

周りはみんなポカーンとして2人を見てた。

俺も…秋も…。