「どーしたの?真子先輩。調子悪い?」



隼人くんが心配そうにあたしの方を向く。

あたし顔に出てたかな。



「う、ううん、調子は悪くない…けど」



「けど?」



隼人くんが首をコテッと傾げる。

その顔、いつ見ても可愛いすぎる。



「…誕生日おめでとうって…あたしが最初に言いたかったのに」



さっきお母さんに先に言われてしまった。

なんだかそれが悔しくてたまらない。

すると、隼人くんは一瞬ぽかんとした顔をしてからケラケラと笑いだした。

そして、あたしの手をギュッと握った。



「俺、18歳になって最初に手つないだの先輩だよ」



そう言ってニコッと笑う。

そして、



チュッ



いきなりだった。一瞬だった。

気づいたときには隼人くんの顔が目の前にあった。



「…俺のファーストキスの相手は真子」



隼人くんはそう言って照れたように笑った。

あたしの顔は真っ赤に染まった。

2人で歩きながら空を見上げる。

雲一つない晴天。



「これからも、ずーっと一緒にいようね」



隼人くんがあたしを見てそう言った。



「うん!もちろん」



あたしもそう言って笑った。