そこにはなぜかお父さんとお母さんがいた。
この間、電話した時は当分帰れないって言ってたのに。
「鳩が豆鉄砲くらったような顔してるわよ」
お母さんがフフと笑って言った。
「真子、ビックリしたか?」
お父さんもニコニコ嬉しそうだ。
そして、
「これからはずーっと一緒よ」
お母さんが言った。
ずっと…一緒?
「え?どういう…」
意味?そう聞こうとする前にお父さんが口を開いた。
「日本の本社に異動になったんだ。だからこっちに戻ってこられる」
それを聞いたら目頭がツーンとした。
今まで、寂しい思いをいっぱいした。
急に一人、日本に残って心細かった。
秋や、啓太がいてくれたけど、それでも寂しいときは寂しかった。
最近はずっと隼人くんと賢一さんと住んでいたから寂しいことはなかったけど、やっぱりお父さんとお母さんが帰ってきてくれることは嬉しい。
すると、お母さんが両手を広げた。
「…ただいま、真子」
あたしの目から涙がこぼれる。
今まで我慢して多分、泣いてもいいよね?
「お、おかえりなさいっ」
あたしはお母さんの胸に飛び込んだ。
お母さんは笑いながらあたしの頭を撫でる。
話を聞けば、このサプライズの計画はお母さんと賢一さんから始まったらしい。
それが隼人くん、啓太に秋。大ちゃんにまで話が伝わって、今日のサプライズを実行してくれた。
みんなには本当に感謝している。
今までで一番、嬉しい誕生日だった。

