「ちょっと!崩れちゃうからあんまはしゃがないでよ」
秋が焦ったようにそう言った。
そして、
「ちなみにその服はお前の両親からで、靴は賢一さんからだ」
啓太がそう言ったのを聞いてびっくりする。
「え!?お父さんとお母さん?あと賢一さん!?」
あたしはもう一度鏡でワンピース、そして靴を見た。
なんだかみんなで合わせてくれたみたいな…
そう思っているといきなり秋が腕を引っ張った。
「ほら、キレイになったんだから帰るよ!」
そう言って美容院の前に止まっている車を指さす。
あれは秋の家の高級車だ。
「ちょ、ちょっとまって!あ!千紗さん、良介さんありがとうございました!!」
あたしはそう言ってバタバタと車に乗った。
千紗さんと良介さんはお店の前で手を振って見送ってくれた。
そして、車はあたしの家の前で止まった。
「ほら、早く松永くんに見せてあげようよ!」
「あいつ、真子が可愛くなりすぎてぶっ倒れるんじゃねぇか?」
玄関の前でドアを開ける前に、後ろにいる2人がそんなことを言っている。
あぁ、なんだか開けづらい。
でも自分の家なんだから!そう思って躊躇しながらもドアを開けた。

