教室に戻る途中に中庭を通った。

その時、この前隼人くんとベンチで話したことを思い出して、一人で顔を赤くする。

そしてなんとなくベンチがあるとこまで歩いた。

ベンチは木の陰になっていて校舎を歩いている生徒からは見えない。

だから、気づかなかった。



「っ!!」



ベンチにはすでに先客がいた。

寝っころがって目をつぶっている。



「は…やとくん」



木陰になっていて風が気持ちいい。

でも、こんなとこで寝てたら風邪ひきそう。

隼人くんに近づくと、スースーと寝息が聞こえた。

気持ちよさそうに寝ている。

ていうか…



「本当に可愛いなぁ~」



寝ている隼人くんの近くでしゃがんだ。

肌が白くてきれいで、マツゲもあたしなんかより長いと思う。

鼻筋が通っていて薄い唇。

どっからどう見ても美少年だ。

あどけない顔で寝ている。

あたしは自分の着ていたカーディガンを脱いで、そっと隼人くんにかけてあげた。

起こすのも可哀そうだったから。

そして、あたしは自分の教室に戻った。