「隼人くんは啓太と違ってそんなことしないよ!絶対」
真子先輩がそう言ってくれた。
なんだかちょっと嬉しい。
「そうだな~隼人はどちらかと言ったらいろいろ譲ったりする方だからな~」
兄貴もポテトサラダを口に入れながらそう言った。
それを聞いてがっくし肩を落とす戸川先輩。
見ていてなんだか可哀そうになってきた。
「と、戸川先輩?俺は戸川先輩みたいなお兄さん、いいと思いますよ?」
なんか言ってあげなきゃと思いそう言った。
すると戸川先輩は俺の右手をガシッっと掴んだ。
俺よりも少し大きなゴツゴツした手で。
「お、お前ほんっと良い奴だよなっ!お前、俺の弟になれ!!」
目をうるうるさせてそう言ってきた。
でもその隣で大樹くんが、
「ダメだよ!隼人兄ちゃんは僕の兄ちゃんになるの!!」
そう言って俺の左手を掴む。
「いや、大樹には絶対渡さない!」
「兄ちゃん離してよ!隼人兄ちゃんは僕の!」
左右から手を引っ張られる。
「い、イテテ…」
変なことで喧嘩が始まった。
俺は助けを求める目で、兄貴と真子先輩を見た。
すると2人はケラケラと笑って俺たちを見ている。
あぁ、ここはなんて暖かい場所なんだろう。
俺はここが好きだ。
この人たちが…大好きだ。

