「えっとね、確か賢一くんと隼人くんって言ってたかしら」
母さんが大樹の口を布巾で拭きながらそう言った。
賢一?隼人…
俺はハッとした。
「あっ!去年お祭りで真子ちゃんと一緒にいた人だ!」
大樹がそう言ったのを聞いて俺は確信した。
まじかよ…松永が真子と一緒に?
俺はフォークを持ってナポリタンを食べ始める。
確かに最近の真子は楽しそうだった。
前の元気のないときは、こっちも本当に苦しそうだった。
真子の笑顔が見れるなら俺は…
「じゃあ明日真子ちゃんち3人、うちに呼んじゃおうか!」
母さんのその一言で、食べていたナポリタンが変なところに入った。
「ゴホッ!ゲホッゲホ!!」
「ちょ、啓太大丈夫?」
母さんが布巾を俺に渡す。
これさっき大樹が使ってたのじゃん!
そう思ったけど俺は構わず口に当てる。
「呼ぼうよ!僕、あのお兄ちゃんたちと友達になりたい!」
大樹がニコニコ笑ってそう言う。
え?俺の家で俺の家族と、真子と、なぜか松永兄弟。
気まずくなるに決まってる。
「よし、じゃあそうと決まれば真子ちゃんにメールしてみよう!」
「ちょ、ちょっと…」
俺が止めるのを無視して、母さんはスマホを取り出し真子にメールを送ったみたいだ。
そして返事はすぐに来た。
「真子ちゃんたち来るって!明日はごちそうよ!」
「やった~!!」
「ま、まじかよ…」
できれば明日が来ないでほしい。
でもそう思ってる時に限って、早く訪れるもんだ。

